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各大学の人気コース紹介

このコーナでは、JOCW加盟大学で公開されているコースの中から人気の高いコース・注目していただきたいコースをご紹介します。

第1回は九州大学と慶應義塾大学です。今後1ヶ月程度毎に2大学、各1コースずつご紹介していく予定です。どうぞお楽しみに!


九州大学

九州大学では、2006年4月にオープンコースウェアを開始しました。2006年10月現在で公開しているコンテンツ数は20あまりですが、この中からアクセス数の多い人気コンテンツを紹介します。

循環型空間システム ( http://ocw.kyushu-u.ac.jp/3053/0001/ )

オープンコースウェアでは、シラバス・カレンダー・授業資料を公開するのが一般的ですが、「循環型空間システム」では、14回にわたる毎回の授業のほどんどすべてをストリーミングで配信しているのが特徴的です。

この授業は、21世紀COEプログラム「循環型空間システムの構築」の教育活動の一つとして実施されたものであり、地球環境への幅広い知識を基礎とし、専門分野への深い造詣を有した地球環境時代の住空間システムに関する研究者・高度技術者の育成を目指して大学院生向けに開講されました。

大学では一つの授業を通常一人の教員が担当しますが、この授業では関連する領域の5名の教員のリレー形式で開講しています。5名の教員はそれぞれ個性があり、ときおり冗談を交えながら話す人、大声で熱弁をふるう人、スライドを使う人、黒板に書きなぐる人、さまざまです。

また、大学の授業は特定の学部や大学院を対象に開講されることが多いのですが、この授業の受講者は人間環境学府・工学府・生物資源環境科学府・芸術工学府と複数の大学院に渡っており、学際的な内容になっているのも特徴的です(九州大学では大学院の学生が所属する組織を「学府」といいます)。

講義のビデオを見ていただくと、ときおり「キーン」あるいは「ゴーン」という音が聞こえてくることがあり、何の音かと驚かれる方もあると思います。実はこの授業が行われた九州大学の箱崎キャンパスは福岡空港に近く、キャンパスの真上が航路になっているため、授業中に飛行機の音が聞こえます。人間の耳は不思議なもので、授業中は気にならないことが多いのですが、ビデオ配信されたものではうるさく感じられます。飛行機に関する話題では、40年近く前に建築中の大学の建物に米軍機が墜落した事件もあったのですが、この話はオープンコースウェアの話題からはずれてしまいますので、また別のところで別の機会にでも...。

このようなリアルな情景を思い浮かべながら、ぜひ講義ビデオを見ていただければと思います。


慶應義塾大学

慶應義塾大学では2005年5月にOCWの公開を開始するにあたり、三田キャンパスの人文社会科学系の専門科目から公開を開始しました。また、日本語と英語の同時公開を原則として進めてきましたが、1年余りの公開を通じ、日本語・英語共通で非常に多くアクセスされているコースがあります。

それは、文学部から公開されています「生物心理学」です。今回担当の渡辺教授にこのコースの紹介文を書いていただきましたので、この内容をお読みいただき、あわせてコースの情報についても見ていただけると一層理解が深まると思います。

<渡辺教授の紹介文>

公開講義「生物心理学」
渡辺茂


 生物心理学では「心」を1)神経系の機能として、2)進化の産物として、とらえます。そのため、はじめに神経系の機能と構造について基礎的なことがらを学びます。このなかでは、脳の進化が重要な問題として取り上げられます。次に、外界の認知の神経基盤を説明します。神経系が機能するためには、まず外界の物理的な現象が神経細胞の膜電位に変換されなくてはなりません。そして脳の中で、直列的にも並列的にも処理されて、外の世界が脳内に再現されます。このことを視覚を中心に述べますが、ヒトとともに脊椎動物のなかで優れた視覚をもつ鳥との比較に重点が置かれます。その次のテーマは記憶、学習といった行動の可塑性です。細胞レベルでの変化からシステムレベルの変化まで説明しますが、システムレベルでは特に海馬を中心に説明します。

 ヒトも動物も「快感」をもとめて行動します。どのようなものが快感をおこし、またその神経機構はどのようなものであるのか、音楽の鑑賞といったことから、乱用される薬物の自己摂取までとりあげます。ここでも快感の進化を考えます。

  最後の話題は、繁殖から言語の生成にいたる、社会的行動です。心理学は個体の行動を扱いますが、個体はDNA伝達のための手段(乗り物)で、動物は結局遺伝子の伝達を最大化するように行動しているという考え方があります。高等動物は繁殖に配偶者を必要としますから、まず、どのように配偶者を獲得するのかという問題があります。さらに、配偶者を獲得できない場合にどのようにするかを検討します。自分の直接のこどもでなくても血縁を利用して間接的に遺伝子の伝達をおこなうことができます。直接的な伝達と間接的な伝達の合計を包括適応度といいます。そして、他個体が血縁関係に有るか否かで行動が決定されることを血縁選択といいます。しかし、ヒトでも動物でも、血縁のない個体同士の間での関係(社会行動)が見られます。社会行動のためには、相手の意図を予測したり、こちらの意図を伝えるといったコミュニケーションが必要になります。そのもっとも複雑なものがヒトの言語だと考えられます。最後の話題は、この言語の起源に関する考察です。


 

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